無溶剤接着剤が木下賞受賞 分別塗工方式で課題解消
(画像は公式サイトより引用)
DICで開発した無溶剤型ラミネート接着剤「DUALAM(デュアラム)」が、日本包装技術協会主催の「第46回木下賞」で「包装技術賞」を受賞した。分別塗工方式を採用し、ラミネートプロセスでの課題を解消した点が評価された。
日本のラミネート用接着剤は約70%が溶剤型だが、VOC発生やCO²排出など、環境負荷が懸念されている。一方、溶剤を使用しない無溶剤接着剤も普及しているがラミネート加工後の気泡による意匠性の問題や硬化速度が遅く、高い生産性を求められる連続ラミネーションに適さないなどの課題がある。
同社はこれらの課題に対応するため従来の混合塗工方式から分別塗工方式に対応したデュアラムを2019年に開発した。同方式を採用した事で、無溶剤型ラミネートの適応範囲の拡大や高速加工適正による生産性の大幅向上、エージング工程のエネルギー削減、接着剤の廃棄ロスの削減を実現した。
分別塗工方式は、NCO(イソシアネート)とOH(水酸化物)を別々に塗布したフィルム同士を張り合わせることで、即硬化性や硬化速度の早い材料を使うことが可能。これにより、エージングの時間短縮ができ、生産効率の向上とCO²の削減が実現した。ポットライフ(粘度安定性)が長く、硬化による接着剤のゲル化物の発生が抑制されるため、接着剤の廃棄量を削減できる。また、フィルムを張り合わせた際に巻き込まれる気泡が少ないため、外観の意匠性が向上した。
デュアラムを供給するユニットは、既存の塗工加工機に後付けが可能。現在、国内2社が採用し、複数社が導入を検討し、海外ではタイと中国での導入を予定している。
同社は、バリア性を持ったデュアラムと安定性と衛生性を持ったデュアラムを開発中だという。今後の方針として、30年までにサステナブル製品を現在の40%から60%にし、CO²排出量を50%削減する目標を掲げ、カーボンニュートラル社会の実現を目指すとした。
包装タイムス2022年7月18日引用